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渚カヲル語録(Genesis 0:12収録版)




シンジ 「トウジもケンスケも、みんな家を失って他の所へ行ってしまった。友達は・・・友達と呼べる人は居なくなってしまった・・・誰も・・・。綾波には逢えない。その勇気が無い。どんな顔をすればいいのか分からない・・・。アスカ・・・ミサトさん・・・母さん・・・僕はどうしたら、どうすればいい・・・」
カヲル 「フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフフーン・・・。歌はいいねぇ」
シンジ 「え?」
カヲル 「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そう感じないか? 碇シンジ君」
シンジ 「僕の名を?」
カヲル 「知らない者はないさ。失礼だが君は自分の立場をもう少しは知ったほうがいいと思うよ」
シンジ 「そうかな? あの、君は?」
カヲル 「僕はカヲル、渚カヲル。君と同じ仕組まれた子供、フィフスチルドレンさ」
シンジ 「フィフスチルドレン!! 君が・・・あの・・・渚君」
カヲル 「カヲルでいいよ、碇君」
シンジ 「僕も、あの、シンジでいいよ」
カヲル 「ふふふっ」







カヲル 「君がファーストチルドレンだね。綾波レイ、君は僕と同じだね。お互いに、この星で生きていく身体はリリンと同じ形へと行き着いたか」
レイ  「あなた誰」







カヲル 「やあ、僕を待っててくれたのかい」
シンジ 「いや、別にあの、そんなつもりじゃ」
カヲル 「今日は?」
シンジ 「あの、定時試験も終わったし、後はシャワーを浴びて帰るだけだけど・・・。でもホントはあまり帰りたくないんだ、この頃・・・」
カヲル 「帰る家、ホームがあるという事実は幸せに繋がる。よい事だよ」
シンジ 「そうかな?」
カヲル 「僕は君ともっと話がしたいな。一緒に行っていいかい?」
シンジ 「え?」
カヲル 「シャワーだよ。これからなんだろ?」
シンジ 「う、うん」
カヲル 「だめなのかい?」
シンジ 「あ、いや別にそういうわけじゃないけど・・・」







カヲル 「一時的接触を極端に避けるね、君は。怖いのかい? ヒトと触れ合うのが。他人を知らなければ裏切られる事も、互いに傷つく事も無い。でも、寂しさを忘れる事もないよ。人間は寂しさを永久になくす事はできない。ヒトは一人だからね。ただ忘れる事が出来るから、ヒトは生きていけるのさ。」
シンジ 「あっ!!」
ガタン
シンジ 「時間だ・・・」
カヲル 「もう、終わりなのかい?」
シンジ 「うん、もう寝なきゃ」
カヲル 「君と?」
シンジ 「えっ、いやっ、カヲル君には、部屋が用意されてると思うよ、別の」
カヲル 「そう、常に人間は心に痛みを感じている。心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる。ガラスのように繊細だね? 特に君の心は」
シンジ 「僕が?」
カヲル 「好意に値するよ」
シンジ 「好意?」
カヲル 「好きって事さ」







カヲル 「やはり、僕が下で寝るよ」
シンジ 「いいよ、僕が無理言って泊めてもらってるんだ。ここでいいよ」
カヲル 「君は何を話したいんだい?」
シンジ 「え?」
カヲル 「僕に聞いて欲しい事があるんだろう?」
シンジ 「いろいろあったんだ、ここに来て・・・。来る前は、先生のところに居たんだ。穏やかでなんにも無い日々だった、ただそこに居るだけの・・・。でもそれでもよかったんだ、僕には何もする事が無かったから・・・」
カヲル 「人間が嫌いなのかい?」
シンジ 「別にどうでもよかったんだと思う。ただ、父さんは嫌いだった!!」
シンジ (どうしてカヲル君にこんなこと話すんだろう・・・)
カヲル 「僕は、君に逢う為に生まれてきたのかもしれない」







カヲル 「人は無からは何もつくれない。人は何かに縋らなければ何も出来ない。人は神ではありませんからね」
モノリス 「だが、神にも等しき力を手に入れようとしている男がいる」
モノリス 「我等の外に、再びパンドラの箱を開けようとしている男がいる」
モノリス 「そこにある希望が現れる前に箱を閉じようとしている男がいる」
カヲル 「希望? あれがリリンの希望ですか?」
モノリス 「希望の形は人の数だけ存在する」
モノリス 「希望は人の心の中にしか存在しない」
モノリス 「だが、我等の希望は具象化されている」
モノリス 「それは偽りの継承者である黒き月よりの我らの人類、その始祖たるリリス」
モノリス 「そして正当な継承者たる失われた白き月よりの使徒、その始祖たるアダム」
モノリス 「そのサルベージされた魂は君の中にしかない」
モノリス 「だが、再生された肉体は既に、碇の中にある」
カヲル 「シンジ君の父親、彼も僕と同じか」
モノリス 「だからこそお前に託す、我等の願いを」
カヲル 「わかっていますよ。その為に今、僕はここに居るわけですから」







カヲル 「全てはリリンの流れのままに」







カヲル 「さあ行くよ。おいで、アダムの分身そしてリリンのしもべ」







シンジ 「嘘だ、嘘だ、嘘だ!! カヲル君が、彼が使徒だったなんて、そんなの嘘だっ!!」







カヲル 「遅いな、シンジ君」







シンジ 「裏切ったな!! 僕の気持ちを裏切ったな!! 父さんと同じに僕を裏切ったんだっ!!」







シンジ 「いた!!」
カヲル 「待っていたよシンジ君」
シンジ 「カヲル君!!」
シンジ 「アスカ、ゴメンよ」
カヲル 「EVAシリーズ、アダムより生まれし人間にとって忌むべき存在。それを利用してまで生き延びようとするリリン、僕には分からないよ」
シンジ 「カヲル君、やめてよ!! どうしてだよ!!」
カヲル 「EVAは僕と同じ体で出来ている。僕もアダムより生まれし者だからね。魂さえ無ければ、同化できるさ。この弐号機の魂は、いま自ら閉じこもっているからね」
カキーン
シンジ 「ATフィールド!?」
カヲル 「そう、君達リリンはそう呼んでるね。 何人にも侵されざる聖なる領域、心の光。リリンも分かっているのだろう? ATフィールドは誰もが持っている心の壁だという事を」
シンジ 「そんなの分からないよカヲル君!!」







カヲル (ヒトの運命か・・・ヒトの希望は悲しみに綴られているのに・・・)







シンジ 「カヲル君!!」







シンジ 「待って!!」







シンジ 「うわぁぁぁーっ!!」





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